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感覚的付加価値のディレクション

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今回は感覚的に食べる食について

昔から食は五感で食べるとはよく聞く話です。

赤提灯で飲むラガービール。

純喫茶のホットケーキ。

屋台の焼きたての焼きそば。

どれも食欲をそそるものばかりですが俯瞰で見るとこれらは感覚的な付加価値をつけて販売しているものではありません。

ここでいう感覚的な付加価値とは例えば

波の音を楽しみながら食べるシーフードパスタ。

森の中で木々の呼吸を感じながら飲むコーヒー。

ジャズの演生奏を見ながら食べるフレンチのフルコース。

私はこのようなものにこそ感覚的付加価値がつく商品であると考えます。

高騰する都心部でランニングコスト(賃料、人件費、食材原価、宣伝広告費)を考えると

食材原価を下げる←クオリティを下げるわけではないが実際手数が多くなることがほとんど

メニューの値段を上げる←限界値が見えにくく客層のマーケティングが必要になる

人件費の削減をする←メニュー構成に大きく関わる

などなど普通にやってたら無理だよねということが多いに考えられる。

ここで提案したいのが感覚的付加価値の導入である。

これは飲食店のポテンシャルを引き延ばす役割を果たし、ここの飲食店に行く理由づけにつながることになる。

たとえ雑踏とした都心であっても、駅から車で数時間かかる地方であってもこれは各店舗ごとに必ず個性を見いだすことができる。

注意すべき点は

森の中のパン屋

海が見えるイタリアン

などの抽象的すぎるのははっきり言って使い古されている。

極端にいうとこの手の飲食店で失敗しているお店を少なくとも100件以上は見てきた。

なぜなら文言こそ一瞬目を引くが中身が普通で価格も一般的なところが大きな要因になっている事である。

先に書いた感覚的付加価値を最大限に発揮するのであれば例えば

森の空気と焼きたてのパン

カモメの飛ぶ空とパスタ

このように言い換えるとぐっとストーリーと想像力を高めることができる。

次にここに落とし込んでいくのはメニューではなくここで食べたいものや感じたい雰囲気である。

例えば森の中で食べる焼きたてのパンといえば食ぱんやバケットなどのプレーンタイプでいいし過度な惣菜パンは野暮になる。

カモメの飛ぶ空を見ながら感じたいのは自由な気持ちやフレッシュなトマト感。

と言った具合にメニューに落とし込む前の段階。

これは星付きのシェフやメゾンのサービスマンは日常的にやっている訓練みたいなものでここではその訓練を少し利用しつつ想像力を掻き立ててディスカッションすることによりお店の大枠ができてくることになる。

こうしてハード面、ソフト面ともに感覚的付加価値がつくお店になっていく。

この感覚的付加価値がついたお店は一様にして価格をこちらのポジションにすることが可能だ。

なぜなら他に競合がないから。

富士山を見る券が発売されていないのと同じで感覚的に取り入れたものは価格がない。

ただ飲食や体験と交わることにより価格以上の効果を発揮する。

味のことについてはここに寄り添ったバランスを取ることが重要になるが複雑な調理を必要としないものが望ましいだろう。

焼きたてのパンに、シンプルなトマトソースパスタ、それを中心に口の中を邪魔しないバランスのとれたもの。

そしてここで食べたものは本当に記憶に残る。

なぜなら、ただ食べたのではなく感覚的に食事をデザインしたものを食べているからだ。

これは美術作品を真剣に見ることに似ている。

このようにメニューやシェフ、オーナー本意の石で進める飲食店とは別の多角的飲食店の視点は店舗を作る上で今まで以上に重要になってくる。

ゲストの気持ちなって考えるとはよく聞く言葉だが、ゲストの先を歩いてガイドしてあげることがこの先もっとも重要なファクターになってくる。

それを考えると飲食店に必要なのは想像力と飲食以外の経験の多さなのかな。

美味しいは当たり前にね!